複数のプロバイダに回線を開放する理由

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なんでみんなに回線貸し出しちゃうッピ?
一人でやってたほうが儲かりそうッピ!
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がーくん、そういうのを防ぐ為に色々な決まりがあるんだよ
なんでそういう決まりが出来ているのか、通信業界の歴史もふまえて解説するよ!

簡単に言うと競争原理による市場活性を政府が目的としている為、WiMAXの通信基地局を作る際の条件に”MVNO(回線を持っていないプロバイダーの会社)への回線の公平な貸与”が入っていたからです。

どうして2.5GHz帯に新しく参入するUQコミュニケーションズにすらそんな規制がされていたのかの背景を説明いたします。

正直WiMAXを契約されようとしている方にとっては特に関係ないほどの話なのですが、ご興味が出る方もいらっしゃると思ったのでご参考ください。時間の無い方は「まとめ」だけどうぞ。

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通信業界の簡易的な歴史

 

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歴史とかめんどくさいッピ・・・
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そう言わずにさ
物事の順序や背景をしれば理解は深まるんだよ!

ご存知の方もいらっしゃると思いますが、通信事業の歴史は通信自由化によって大きく動き出しました。(これ以前の通信の歴史を知りたい方は「通信 国営時代」を調べていく事をオススメします)

1985年の通信自由化まで通信事業者は、国内回線を持っていた電電公社(現NTT)、国際回線を持っていたKDD(現KDDI)の二社が寡占している状態でした。ほとんど国単位で運営しているようなものですから、法律によって新規参入は不可能な状態だったのです。

しかし通信自由化が起こり規制が緩和された為、電電公社(現NTT)が国際回線へ進出したり、KDD(現KDDI)が国内回線へ進出したり、はたまた新規参入の通信業者が立ち上がる事となっていきました。

ここから移動通信業界の歴史を軽くみていきましょう。

なおWiMAXにつながる話をするために今回は国内回線に閉じてお話します。

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ちなみにNTTは、国営時代→日本電信電話公社時代→日本電信電話株式会社時代(民営化)→NTT〇〇時代(再編成)と変化しているよ

NTTがほぼ独占の1990年代

 

NTTがほぼ独占の1990年代

そしてこの頃から移動しながらでも通信が出来る無線回線が普及し始めました

それまで物理的に繋いでいた回線を公共の場に流す「電波」へと変える為に基地局と呼ばれるアンテナ施設が必要となるのですが、通信自由化により民営化されたといってもまだまだNTTが通信事業のイロハを握っていたので約15年間ほどは、移動通信事業の主導権もNTTが主導になり続けていました

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独占ッピね!多分よくないッピ!
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お互いに競い合ってより良くなっていく仕組みが働かないからね

ちらほら他社基地局も出来上がる2000年代

 

ちらほら他社基地局も出来上がる2000年代

2000年代に入るとようやくIDO(現KDDI)、後発ながらもボーダフォン、ウィルコム(どちらも現ソフトバンク)といった会社の基地局も目立つようになってきます。

ちなみに新しく基地局を作る為には政府から「電気通信事業してもいいよー」という許可(電気通信事業法関係の条件クリア)と「基地局作ってもいいよー」という許可(電波法関係の条件クリア)をダブルでもらわないと作る事が出来ません。

特に電波法関係では、どの周波数を使ってよいかの面で、ものすごい黒い利権があるとよく言われており(電波オークションの話です)新規参入の障壁はものすごく高かったと予想されます。

様々な会社が合併したりもあり、そんなこんなでぎりぎり移動通信事業に台頭できたのが、今のソフトバンク、KDDIだったのです。これで主な移動通信事業者はNTTドコモ、ソフトバンクモバイル、KDDIの3社となります

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僕も知ってるッピ!有名な会社ばっかりッピね!
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そうなんだ、がーくんが知ってるほど移動通信(携帯電話)ビジネス市場はそれだけ巨大なビジネスなんだ
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・・・

3社の時代である2010年代前半

 

3社の時代である2010年代前半

このあたりからは知っているかたも多いと思うのですが、この三社(NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク)圧倒的すぎて新規参入の障壁がとんでもなく高くなってしまっていました

それだけなら企業努力の賜物と言えるのですが、実際は料金設定やキャンペーンなどがあまりに酷似しておりカルテルと揶揄される程でした。

カルテル:同種類の生産事業を行う企業が、それぞれの企業の独立性を保ちながら自由競争を避け市場を寡占し利益の推進を図るため連合するもの。

ここまで寡占してしまうと「移動通信事業に自由競争が働いているとは言いづらい」との事で、通信事業の大元を取り仕切っている政府(電波の許可を出しているのは政府)が自由競争原理を働かせようと動き始めました。

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ソフトバンクは後発ながらも、今でもこの3社は圧倒的な企業として市場にいるよね

格安SIM等MVNOの波が発生する2010年代後半

 

格安SIM等MVNOの波が発生する2010年代後半

政府は数社の企業で寡占され利益追求をされる事を防ぐ為に、実は電気通信事業法にドミナント規制と呼ばれる規則を導入していおりました。

ドミナント規制とは簡単に言うと、「電波を提供している会社のうち市場のシェア率が高くなってる会社は、電波を他の会社にも公平に貸し出してあげないとダメですよ」という規制です。

実はこの規制昔からあり、ドコモが2002年、KDDIが2005年、ソフトバンクが2012年に指定されております。

じゃあなぜ他の会社が回線を借りて新規参入をせずに、この三社がずっと市場を寡占し続けられたの?ということですが、そこにはもう一つ「SIMロック」という理由があります。

みなさんも携帯電話を買われた際に、最初に店舗で小さなカード「SIM」を携帯電話に差し込むのですが、あのカードにより携帯電話は各会社の電波をキャッチできるようになっています。

SIMロックとは携帯電話自体に、ある会社のSIMカードしか使用できないようなロックをかけておくことを言います。

このロックにより新規参入の会社が電波を借りたとしても携帯電話自体がその電波をキャッチしてくれない為、事実上参入不可能な状態だったのです。

これは明らかに寡占を招いているという事で色々問題に上がり、2015年にようやく「SIMロック解除義務化」が開始されました。(色々条件付きなのですが・・・)

これにより遂に「電波を借りる事も出来る、端末も使える」という条件がそろい「携帯代金高すぎるという世論」も相まってMVNO業者が一気に流行る事となったのです。

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なんとなく分かったッピ、なるべくしてMVNO流行がきてるッピね
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そうなんだ、携帯電話の通信事業者は今必死なんだよ

じゃあWiMAXは?

 

じゃあWiMAXは?

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でWiMAXはどうなんだっぴ?
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この前に話した移動通信事業者の歴史に当てはめたらすぐに、UQコミュニケーションズ社がWiMAXの電波を開放している理由が理解できると思うよ

話が完全に携帯電話回線の歴史にそれてしまいましたが、そういう背景が通信事業業界にあるという事を知っておいてほしかったのです。ここからWiMAXの話です。上の話よりも少ないです(笑)

現在WiMAXを運営しているUQコミュニケ―ションズの前進である、ワイヤレスブロードバンド株式会社2000年代後半に通信基地局を作ろうとしました

その時には上の記述した歴史的流れもあり、2.5GHz帯電波の基地局の認可に対する条件に、はじめから電波の他社への公平な貸与を組み込んでいたのです。

具体的には2007年に政府が「二・五GHz帯の周波数を使用する特定基地局の開設に関する指針」という文書を策定しており、こちらの指針を元にした認可を受けないと新たに2.5GHz帯の基地局を作る事が出来ませんでした

この文書の中に「電気通信事業の健全な発達と円滑な運営への寄与」という項目があり、「本開設指針に基づく開設計画の認定を受けていない電 気通信事業者による無線設備の利用を促進するための計画を有すること。」との条件が記されている為、ワイヤレスブロードバンド株式会社(現UQコミュニケーションズ)は他社に回線を公平に貸与しているのです。

参考資料を載せておくので更に更に興味がありの方はご参照ください。

【参考資料】
二・五GHz帯の周波数を使用する特定基地局の開設に関する指針
2.5GHzギガヘルツ帯の周波数を使用する特定基地局の開設に関する指針に基づく開設計画の認定(総務省報告)
MVNO事業者に掛かる電気通信事業法および電波法の適用関係に関するガイドライン
UQコミュニケーションズ「特定基地局開設計画認定申請書」抜粋

WiMAXはなぜSIMロックがあったのに参入したの?

WiMAXの電波を使用する為には携帯電話端末側のSIMカードの有無は関係ないからです。

WiMAXが使用する通信規格はWi-Fiの仕組みそのものです(周波数が2.5GHzという点等)。各社が出す携帯電話端末はWi-Fiを使用する機能が組み込まれている為、SIMロックを意識せずに新規参入する事ができたのですね。

しかしその頃はインターネット回線を使用した電話であるIP電話が普及していなかった為、通話は出来ない印象が強かったです。

 
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UQコミュニケーションズさんは、ちゃんと市場活性をしようとしたッピね!
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そうなんだルールで出来ないだけと思うかもしれないけどSIMロックのように独占する仕組みを組み込まず、しっかり市場の活性化を考えたとっても素晴らしい企業なんだよ
だからこそ良質なサービスを生み出す事が出来るのかもね

まとめ

 

まとめ

まとめ
  • 通信事業は歴史的にも寡占の様になってしまう事がよくある為自由競争による市場活性されづらい
  • それを回避する為、新しく2.5GHz帯の通信基地局を作る条件には予め「他社への回線の貸与」が導入されていた
  • ワイヤレスブロードバンド株式会社(現UQコミュニケーションズ)は基地局設立の認可を受ける為に、公平な貸与計画を作成し基地局設立の許可を得た
  • その為現在も様々なWiMAXプロバイダーへ回線を開放している
 
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なんか誰かに教えたくなったッピ!
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たしかにこの知識ってそういう雑学的な面もあるね(笑)
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